といたレディースクリニック
掲載日:2023年5月17日
多くの女性が密かに悩んでいると言われている「性交痛」は、なかなか周りにも相談しづらい内容でもあるため、一人で抱え込んでしまう方が少なくないようです。
性交痛とは、挿入時や性行為後に、外陰部や膣内がヒリヒリと痛みを感じることです。1回ならまだしも毎回痛みを感じてしまうと、パートナーとの時間を楽しむことができないどころか、性行為自体が怖くなってしまいます。この性交痛はいろんな原因から発症するもので、中には病気が原因で発症することも…。 今回は、性交痛について考えられる原因とその解決方法をご紹介していきます。
痛みがひどいせいで、パートナーとの性行為に集中できず、最後までできません…。
初めてからしばらく経つのに、こんなに痛みが続くのは身体が慣れていないせいなのでしょうか?
初めてや初期の性行為時は、身体が慣れていないため、どうしても痛みが生じやすくなるのは確かです。
しかし、回数を重ねても痛みが改善されないとなると、別の要因が考えられますので、下記で詳しく説明させていただきますね。
初期の性行為で痛みを感じる場合、緊張感やパートナーのやり方が改善されれば、少しずつ性交痛が軽減される可能性があります。けれども、一向に痛みが解消しなかったり、日常でも何らかの違和感や症状が見られると、慣れでは到底解決できない原因が潜んでいると考えられます。
毎回性交時に痛みを我慢し続けるのは、身体的にも精神的にも負担がかかり、何の解決にもなりません。まずは、自分の性交痛がどんなタイプなのか、原因は何なのかを理解することが重要です。場合によっては、婦人科系の病気による原因の可能性もあるため、性交痛に違和感を感じるようであれば、最寄りの専門機関で相談するようにしましょう。
まず性交痛で考えられる原因として「膣の乾燥」が挙げられます。膣内が十分に濡れた状態でないと、挿入時に膣の入り口が傷つき、摩擦で痛みを感じやすくなってしまいます。膣が乾燥する原因として、前戯不足で性的興奮が高まっていないといった原因の他、妊娠や出産、更年期、閉経などの身体的な原因や、ストレス・緊張による精神的な原因などで膣が濡れにくくなります。
ごく軽度の痛みであれば、ローションなどの潤滑剤を使用することで、性交痛の痛みを軽減することができます。ただし、痛みが中等度~重症になるとアイテムなどでの改善は厳しいため、専門院でホルモン補充療法や漢方、レーザーなどの治療を検討すると良いでしょう。
コンドームの使用によるアレルギーが原因で、痛みが生じている可能性があります。コンドームの素材であるゴムには、ラテックスタンパク質が含まれており、これが原因で肌が赤くなったり、痛みが生じる他、蕁麻疹が発症するなどの症状もみられます。
もし、アレルギー症状が見られる場合は、皮膚科への相談、ゴム以外の「ポリウレタン」や「ポリイソプレンラバー」といった素材のコンドームの使用をおすすめします。
膣の入り口部分の左右にある、ヒダ状のものを小陰唇といいます。この小陰唇が大きいために、性交時に引っ張られたり巻き込まれて痛みを感じることがあります。
小陰唇の大きさは、婦人科形成の手術「小陰唇縮小手術」で解決できます。小陰唇の余分な部分を切除することで、性交時の痛みを解消できる他、バランスの良い見た目に整えたり、デリケートゾーンの臭いや衛生面も改善することができます。
処女膜強靭症とは、女性の膣の入り口周りにある処女膜が、通常よりも硬く厚い状態のものをいいます。通常の処女膜はとても柔らかく薄いため、最初の挿入時に破れてつっぱりがなくなります。しかし、この処女膜が分厚いとなかなか簡単に破れず、おまけに強い痛みを感じるため、性交渉を最後まで行えないのがほとんどです。
この処女膜強靭症は先天性で生まれつきのものなので、直接身体に悪影響を与えるものではありませんが、自分自身で改善するには難しい問題です。最近の婦人科形成では、痛みの原因となる膜の部分を切開・切除する処女膜切開手術があります。手術時間はおよそ15~20分程度で、クリニックによっては抜糸を必要としないところもあるので、早期に解決したい方にはおすすめの手術になります。
潤いはあるのに痛みを感じる方や、性行為時以外も痛みを感じる方で考えられる原因として、性器に関する病気の可能性が挙げられます。代表的な婦人科系の病気では、「子宮筋腫」や「子宮内膜症」があります。子宮筋腫は、子宮壁にこぶのようなものができる症状で、大きさや場所によって性交痛が生じるようになります。一方で子宮内膜症は、本来子宮の内側にある子宮内膜が内側以外の場所でできる疾患で、生理が重くなり性交痛の原因になります。この他にも、カビの一種である「カンジダ」によって性器に炎症が起こると、性交痛を感じることがあります。
性器に関する病気は、当然自分で解決するのは困難なため、早急に専門のクリニックで診察を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。
完全に性交痛を解決するとまでは難しいかもしれませんが、原因によっては痛みを軽減することは可能です。性交痛で多い原因の一つ「膣の潤い不足」は、潤滑剤などのアイテム使用が最も取り入れやすく、物理的に挿入をスムーズにしてくれます。 また、体位を工夫することでも痛みを抑えることができるといわれています。例えば、奥に痛みを感じやすい方の場合は、挿入が深くなる後背位によって、性交痛が生じやすい傾向があるようです。そのため、女性が上になる騎乗位や対面座位の方が、深さを自分でコントロールでき、痛みが出にくくなります。
性交痛などの更年期不調に向けての対策として、サプリメントで女性ホルモンの減少をケアする方法もあります。なかでも、大豆イソフラボン由来の成分「エクオール」はエストロゲンに似た働きをするので、ホルモン治療の補助など更年期障害の治療によく使われています。ただし、飲み始めてすぐに効果が出るものではなく、あくまで予防の一環として手軽に取り入れられる方法になります。
セルフケアをしても全く改善が見られない、性行為後や性行為以外でも痛みを感じる場合は、一度専門機関で診てもらうことをおすすめします。上記でも記載しているとおり、性交痛はパートナーのやり方や潤い不足だけの原因ではない可能性があるためです。原因によって「婦人科」か「婦人科形成」で分かれますので、もし原因が分からない方は最初に「婦人科」へ受診すると良いかもしれません。
例えば女性ホルモンの低下による性交痛の場合は、ホルモン補充療法や漢方といった方法で治療を行います。また病気が原因の場合は、しっかりとカウンセリングや検査をした上で、手術や薬など適切な治療法で改善を目指します。
婦人科系の疾患以外に原因がある多くのケースは、婦人科形成といった専門クリニックで治療することが可能です。処女膜が原因であれば切開・施術する「処女膜切開術」、小陰唇肥大が原因であれば切除し小さくする「小陰唇縮小手術」、膣の萎縮が原因であればヒアルロン酸注入法や炭酸ガスレーザーによる治療といった方法があります。
いかがでしたしょうか。性交痛は周りへの相談はもちろん、パートナーにもなかなか相談しにくい悩みの1つです。しかし、一人で我慢したり抱え込んだままだと、痛みだけでなく、パートナーとの関係を悪化させてしまう可能性があります。性交痛で悩んでいるのであれば、専門の医師に相談することが、解決への一番の近道です。クリニックでは無料カウンセリングを設けているところもありますので、痛みの原因が分からない方はまず専門機関に相談してみてくださいね。
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